週末にわれわれはそれぞれ香港とシンガポールに出かけた。
どちらもレムによってジェネリックシティーとしての未来を運命付けられてしまった都市。
旅行でなくてビジネスでこれらの都市に来る場合、大抵は空港からハイスピードトレインとタクシーを乗り継いでホテルに入り、ビジネス以外はホテルから一歩も出ないか、そこに付属のショッピングモールで食事、買い物を済ませる。スターバックスでコーヒーを買い、ページワンで雑誌を購入し、ユニクロで靴下を買う。そしてまた同じ道をたどって空港に戻り、出国する。彼らにとっての旅とはどれだけ不便なく、トラブルなく暮らせるか。できるだけ普段と「同じ生活」を送れるか。彼らは都市や国を超えたジェネリックスペースに住む住人である。
そのジェネリックスペースの住人が全体に占める割合がそれほど多いはずがないのだけれど、都市は彼らのような人によって作られている。
彼らこそがそんな空間を求めている張本人(クライアント)であり、それを経済的にも政治的にも実現する能力のある人たち(アーキテクト)である。そしてこういうプロジェクトを実際に設計する人たち(デザイナー)も何故か通常ジェネリックスペースの住人によることが多い。
でも私たちが旅行に求めるものは、「違う風景」のはずだったような。違う場所で、違うものを飲んで食べ、違う人々の違う行動を観察することだったような。


