早いもので深セン大学に教えに行くのも折り返し地点です。Theme Studioといって普通のスタジオとは違い、選抜されているので学生はとても熱心。ただ課題への取り組み方は日本やアメリカの学生と非常に似ています。まず”問題”をもしくは”コンセプト”と称する何かを見つけようとする。そして最終的に空間に名前を与えることでプロジェクトを終えようとする。平面上でここが”カフェ”、ここが”ロビー”といった風に。そのカフェやロビーがどんな空間なのかはあまり考えない。
教育の場でプロジェクトを抽象的に客観的に解決するというこの傾向はいつからあるのでしょう。まるで数学を解くように、一つの完璧な答えがあるかのように冷静に建築をとらえようとする傾向。現場に出れば具体的な問題だらけだし、設計なんて非常に個人的な作業なのだけど。大学の課題は常にフィクションなので、リアルにとらえるのが難しいのもわかります。でも学生であるうちにできるだけ客観性を学び、それを超えた主観性を養うことはとても大事。もちろんそんなのは一生かけての作業でもありますが。
シンセンへの行き帰りの飛行機の中で、五十嵐太郎氏の<ビルディングタイプの解剖学>という本を読んだ。社会制度やシステムの建築への影響を書いた本である。宗教の宗派の違いや教育方法の発展がいかにリアルに平面計画や外観に影響を与えるかといった内容。まさにこのリアルさを学生に求めているのです。中国語か英語であれば是非私達の学生にも読ませたいです。